ともあれ高校合格おめでとう! 希望に夢ふくらませるキミに言うのも酷ですが、残念ながら一生が保証されるような写真賞は、この世に存在しません。
もちろん写真賞を獲得したのを機に、写真家として着実に階段を上りつめた人も大勢いますが、それは写真賞そのものの威力ではなく、本人の才能とその後の努力の賜物です。
1つの写真賞で何年くらいメシが食えるのだろうと思って試しに事情通に聞いてみましたが
「昔だったら数年、今だったら1年がやっとでは…」とのことでした。
なぜ昔だったら数年もったのかというと、時代の流れが緩やかで人々の記憶に残りやすかったからです。それに文学賞と同様に数が少なかったため、はるかに今よりも権威があったからです。
まず、こんなことはありえないと思いますが「受賞者には、主催者から一生分の仕事が保証されます」なんて副賞がついたら、プロの卵も現役のプロも、みんなが殺到して大パニックになると思います。
最高賞金1000万円のフォトコンテストがありますが、それでも数年しか暮らせないのです。
写真家としてプロ宣言するのは簡単ですが、プロであり続けるのは、決して容易ではありません。激動する時代と闘いながら、つねに新しい視点の作品を発表していかなくてはならないからです。
東大に在学中の学生が、ちょっとハメを外すと「東大生のくせに…」と、すぐに軽蔑されます。卒業して社会人になっても、ちょっと仕事で失敗すると
「東大出身者は頭はいいかもしれないが、それ以外は全然ダメだね」と馬鹿にされると私の友人が嘆いていました。
写真賞を励みに、さらに精進して大輪の花を咲かせる者もいれば、そのプレッシャーに耐えかねて、みずから写真界を去る者もいます。栄光への花道は、時として転落へのイバラ道となるのです。まさに十人十色です。
カメラ雑誌に作品とともにプロフィールが掲載されますが、読者に「○○○○賞もらってるくせに、ずいぶんヘタだなー」なんて言われたら、とんだ生き恥をさらしてしまいます。結局は、写真賞など、とっても、とらなくても人生に関係ないのです。
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