「こっそり教えてください」とのことですが「こっそり教えてほしい」のは実はプロの私の方です(笑)。
なぜならば、さまざまな広告や製品紹介のカタログを並べてみても、みんな都合の悪いことは一切書いてありません。だから商品購入の参考にはできても、それだけで高価な買い物をするというのは、ちょっと危険です。
もしAF一眼レフカメラのカタログに「この製品は、○○○○○○については保証いたしかねます」など一見、謙虚そうに見える文面があるとすれば、おそらく「このカメラに交換レンズメーカーのレンズを付けないでください」という意味であって、決して自社製品の弱さを告白しているわけではありません。
「交換レンズについても、ぜひとも純正をお買い求めください」という強力なお願いなのです。
さらには雑誌のテストレポートでは、かなりのページをさいて新製品の特徴を解説していますが、これも個人差があって必ずしも自分の使い勝手に合っているとは限りません。そもそも自分の眼ほど信用できるものはなく、さらには同じ機材でも長く使ってみないことには、本当の長所、短所はわからないものです。
かつては時代の流れがゆるやかで新製品開発のペースも遅かったので、じっくりと使い心地をチェックすることができましたし、ユーザーの声も後続の機種に確実に反映されました。
ところが銀塩、デジタルともに、こんなに技術革新の潮流が激しいと、メーカーの開発コンセプトだけが一人歩きして、本当にユーザーが求めるものから遠ざかっていっているような傾向すらあります。
これまで時代の最先端の機材で未知の表現領域を切り拓いてきたトッププロでさえ、新しい機能を完璧に使いこなすようになる前に次々と新製品が出てくるので、ほとほと困っています。
ひと昔前までは「トッププロの○○○○が撮ったナイスショット」だったのが、今では「フラッグシップ機○○○○が捉えたナイスショット」というように人とカメラとの主従関係が逆転してしまいました。
「トッププロが○○○○という機材を使って傑作を撮った」というのと「最先端の技術を搭載した○○○○というカメラが傑作を捉えた―たまたま、その現場にいたのは○○プロだった」というのでは雲泥の差なのです。
これほどまでAF一眼レフカメラが目覚ましい進化をとげても、スチール写真はテレビ映像にどんどん差をつけられています。以前のように対等に張り合える古き佳き時代は、もう2度と来ないのでしょうか。
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